復活したギャルソンレース
3月に入り少しづつ暖かくなってきたパリ。くもりと雨続きだった今年の冬もやっとで春の空気が感じられるようになってきました。そんな3月後半の日曜日、パリで「ギャルソンレース」(La Course des cafés)が開催されました。
ギャルソンレースとは、カフェやレストランで働くギャルソンがトレーの上のものをこぼさずにどれだけ早くゴールできるかを競うという、とってもユニークなレースです。パリで初めて開催されたのは1914年で、120年の長い歴史を持つレースなんです。
この個性的なレースはフランスの地方都市はもちろん、世界50カ国以上で行われているそう。ただ、予算の都合などで2011年を最後にパリでは開催されていませんでした。しかし今年はパリでオリンピックが開催されることから、スポーツつながりで13年ぶりに復活しました。
「ギャルソン(garçons)」とはフランス語でウェイターのことですが、参加は男女問わずできるため、「カフェ・レース(course des cafés)」と改名されました。
ギャルソンレースのルール
レースは片手にトレーを持って誰が一番早くゴールにたどり着けるかの勝負。トレーの上には水の入ったコップとエスプレッソコーヒーとクロワッサンが乗っていて、これらをこぼしたり落としたりせずにゴールしなければいけません。
ただ、コップには水が入っていましたが、コーヒーは空でした(笑)たしかにコーヒーをこぼさずに急ぐのはちょっと難しいですよね。
それからレースとはいっても、走ってはいけないのだそう。なので競歩レースのような感じです。実際、レストランやカフェのギャルソンは走ったりしないですもんね。
トレーの上のものをこぼさずにいかに素早く丁寧にサービスできるかがギャルソンの腕の見せ所なので、まさに〝ギャルソンレース〟です。
大盛りあがりのレースはあっという間に終了!
ギャルソンレースのコースは全長2キロ。パリ市庁舎からスタートしてマレ地区をぐるっと周り、再びパリ市庁舎に戻ってくるルートです。
レースは11時15分にスタート。濃紺のパンツと白シャツに身を包んだギャルソンたちがいっせいに歩きだします。ベストや蝶ネクタイ、ハットなどでオシャレに決めた参加者もたくさんいて、さすが美意識の高いフランス人といった感じでした。
いくら走ってはいけないとはいえ、スタートから30分ほどで全参加者がゴール!スタートを待つ時間のほうが長かったくらい、あっという間に終わってしまいました。
優勝したのはパリ5区のレストランLa Contrescarpeに勤めるSamy Lamrousさん。女性部門ではカフェLe Petit Pontでウェイターとして働くPauline Van Wymeerschさんでした。
13年ぶりの開催となったレースはなかなかの盛り上がりを見せました。テレビカメラや多くのメディアの姿も見られ、注目度も高かったようです。レース後には会場に設置されたカフェスペースで家族とコーヒーを味わう参加者の姿も見られ、なんだかほっこりしました。
ギャルソンレースは来年も開催される予定だそう。今年は参加者を200人までに限定しての開催だったので、来年はさらに大きな規模で開催されたらいいですね。