前回、フランス国民教育省が認定した唯一の公式フランス語資格である「DELF B1」を受験して合格し、合格するまでに実践してきたおすすめの勉強法をご紹介しました。
今回は、DELFのB2(B1の一つ上の上級レベル)を受験してきたので、その時の試験の内容やB1との違いなどについてご紹介します。同時に、B2を受験するにあたって実行してきたおすすめの勉強法についてもご紹介します。
これから受験しようと思っている方や、フランス語をより効率的に勉強したいと思っている方々の参考になれば幸いです。
DELF B2の試験について
筆記試験時間はB1よりも30分以上長い
まず、DELF B1 の筆記試験時間が「1時間55分」だったのに対し、DELF B2は「2時間30分」で、試験時間はB1よりもB2の方が35分も長くなります。B2の筆記試験では「リスニング(聴解)・読解・作文」に、B1よりもより長い時間集中して解答する力と、より多くの文章力が必要となります。
DELF B2の試験内容
DELF B1の記事でもご紹介したように、DELFの試験は基本的に「筆記試験」と「口頭試験」に分かれています。
試験時間と点数配分は下記の通りです。
【筆記試験】
- リスニング(Compréhension de l’oral):約30分/25点満点
- 読解(Compréhension des écrits):60分/25点満点
- 作文(Production écrite):60分/25点満点
【口頭試験】
- 口頭表現(Production orale):約20分(準備時間30分)/25点満点
筆記試験の時間配分は「リスニング」以外は個人で自由に配分できます。読解を30分で終われば、作文に残りの1時間30分を配分できますし、読解に1時間30分かかれば、残り30分で作文を仕上げなければなりません。
合格基準はB1と同じく、各セクションで最低5点は取らねばなりません。筆記試験または口頭試験、どのセクションでも一つでも5点以下があれば、その時点で不合格となります。
DELF B2の口頭試験
筆記試験は前述したように「リスニング(Compréhension de l’oral)・読解(Compréhension des écrits)・作文(Production écrite)」の3セクションで構成されており、+「口頭試験」があります。
試験官と直接フランス語で会話する口頭試験では、試験の初めに受験者が2つのテーマをランダムに選び、その中からどちらか1つのテーマを選びます(試験官と議論しやすいテーマを選びましょう)。
テーマを決めた後はすぐに試験官と議論するのではなく、その前に「準備期間」として、あらかじめどんな議論をするのかメモを用意したり考えをまとめる時間が与えられます(準備期間はB1では10分でしたが、B2では30分と長くなりました)。
B2ではB1よりもさらに語彙も多く使用しながらテーマに沿ったプレゼンテーションをする必要があり、B1よりさらに徹底して準備期間が大切になります。
ただ単に準備期間の間にメモした文章を読み上げるだけでなく、試験官と実際にフランス語で会話しながら、そのテーマについて自分はどう思うのか(賛成か、反対か)、賛成ならなぜ賛成なのかを論理的に説明する必要があります。
その後、試験官は受験者に「しかし、⚪︎⚪︎の場合はどうだろう?」と議論を投げかけてきます。その質問にどのように受験者が答えられるか、反応できるか、語彙が豊富であるかなどで点数や判定を行います。
試験官は時に予想外の質問をしてきます。あらゆる質問に備えて、できる限り語彙や表現などのボキャブラリーを増やしておく必要があります。そして、もしとっさに対応できない(当てはまる言葉が見つからない)場合でも、知っている言葉に即座に言い換えて対応できる能力を付けておくことをおすすめします。
DELF B2試験対策
B1よりも語彙を豊富にしておく必要がある
B2では、求められる語彙の種類や数がB1よりも圧倒的に多くなります。日常会話はもちろん、ニュースや政治について、環境問題やスーパー・カフェに関する問題など、ローカルで実際に起こっていることを正しく理解し、またそれに対して自分の意見を正確に、具体的に表現する力が必要になってきます。
そして試験は上記のように4セクションに分かれているため、それぞれでしっかりと得点できるように試験対策をすることが必須となります。実際に受験した私の意見としては、特に口頭試験での論議で自分の意見を立証することは、かなりのフランス語表現力が求められると実感しました。
B1の時では、試験官の方々もレベルを考慮してくれるところがあり、場合によっては助け舟を出したり、「言いたいのは⚪︎⚪︎ということだね?」と、向こうから語彙を提案してくれたりしますが、B2ではそうはいきません。
全てを自分一人で立証できる力、語彙力と正しい文法など、今まで積み上げてきたフランス語の経験を全て独力で実践できる適応力が求められます。そのためB1試験から大きく形式が変わるB2での口頭試験は特に大きな関門になるといえます。
では、具体的に口頭試験などをうまく克服するための能力はどのように身につけられるのでしょうか?
下記では、具体的に私が行ったおすすめの勉強方法をご紹介します。
DELF B2を受験するにあたって実践したおすすめ試験対策
YouTubeで興味のあるフランス語動画をできる限り字幕付きで見る。
私が一番実践していた方法はこれです。実はDELFだけのためならず、自分の楽しみのためにも、常日頃から実践している方法です。
ジャンルは自分の興味のある分野が一番良いです。例えば私の場合は、フランス人の習慣(ルーティーン動画)、短編映画、ドラマ、ドキュメンタリー番組、バラエティ番組、コメディなど様々なジャンルの動画を頻繁に見ていました。
特にドキュメンタリー番組(以前紹介したドッキリのような番組)や短編映画では新しい語彙を学ぶことができたり、フランス人の生のリアクションを見ることができるので大変おすすめです。
ただひとつ、字幕付きで動画を観るということが大事です。
字幕がついていない動画でも、だいたいの音が聞き取れたら、フランス語辞書で調べたりしながら覚えることができます。「このような場合にはこういう単語や表現を使うのか」など、無意識に覚えられていくので大変おすすめです。テキストだけの学習書のように意識的に覚えようとするのではなく、楽しみながら見ることができる点が良いと思います。
その時覚えた表現や語彙はすぐには実践できる機会がなくても、(例えばフランスに行った時、フランス人と会話する機会があった時、上記のような試験時など)後に予期せぬ場面で役に立つフレーズであったり表現だったりします。
楽しみながら様々なボキャブラリーを自然と習得できるのでおすすめです。
学習サイトでの会話フレーズを文字を見ながら覚える
2つ目はCoucou!フランス語学習サイトでの無料会話10話を文字(テキスト)を目で追いながらで音声を聞く方法です。
こちらから無料で10話を体験できます。
このサイトの他とは違う良いところは、「本物のフランス語に触れることができる」ということです。
サイトや参考書によっては、カタカナで発音が書いてあるサイトなどもあるのですが、11年住んでいた私から言わせれば、カタカナでは絶対に覚えることはできませんし、絶対にお勧めしません。なぜなら、「本当のフランス語は日本語のカタカナでは言い表せない音」だからです。そういった理由からも、「フランス語学習サイトCoucou!」は非常におすすめできます。
文字(テキスト)を目で追いながら、耳から音声を聞く。電車の待ち時間や移動中などの時間がある時に、これほどまでに実用的な方法はありません。いつでもどこでも、フランス語に触れることができます。
また、11年間フランスで暮らしてきた私にとっても、Coucouレッスンの会話は、現地の人の発音とスピードそのものです。不自然にゆっくりすぎることなく会話してくれるので、現地のフランス人の生のスピードと発音やニュアンスで聴くことができるため非常におすすめのサイトです。
まずは上記の10話を無料体験で音声+字幕付きで聞いてみてください。字幕(テキスト)を目で追いながら、耳からフランス人ネイティブの自然な発音が聞けます。
そしてトライアル(すべてのコンテンツが2週間無料)にもぜひ登録されることを強くお勧めします。
カードなどの登録も不要なので、自動的に料金が発生することはありません。にも関わらず、すべてのコンテンツが2週間無料で聞き放題なので、フランス語を学習する人はもちろん、フランス人の生の会話を聞いてみたい方など、全ての方にとって非常に有効なためになるおすすめ学習方法です。
いずれにしても、フランス語を習得する一番の方法は、字幕(テキスト)を目で追いながら、音声を耳から聴くという目+耳の2つの器官を使っての学習方法であることは言うまでもありません。
まとめ
今回は、「フランス国民教育省認定資格DELF B2」を受験するにあたっての試験内容と、具体的な試験対策についてお話ししました。もちろん普通の試験と同じように付け焼き刃で勉強するのではなく、試験を受けると決めた日から時間をかけてこつこつと少しずつ勉強していくのが一番良い方法です。継続は力なりです。
このフランス語資格DELFは国際的にも広く認められている資格です。一度取得すれば生涯有効で世界中で通用する資格なので、そういった点からも取得されることをおすすめできます(ちなみに仏検は日本でのみ有効です)。将来フランスで仕事をしてみたい方はもちろん、フランスで何か起業してみたい方、ワーキングホリデー、留学を考えている方など、すべての方におすすめできる資格です。
ぜひ上記の具体的な学習方法を参考にしながら、フランス語をより身近に感じ造詣を深めつつ、フランス語の面白さや魅力を発見してみてください。