フランスで人気のドッキリ番組『Cam Clash』から役立つフランス語フレーズを解説付きでご紹介

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前回、フランスで大人気のドラマシリーズ『Le jour où tout a basculé』を、役立つフランス語フレーズの解説と共にご紹介しました。

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今回は、同じフランスのYouTube動画の中から『Cam Clash(Camera Clash)』という人気のドッキリ番組をご紹介します。

また、今回も後半ではYoutubeに公開されている実際のエピソードを1つご紹介して、動画で実際に使われている役立つフランス語表現をいくつかご紹介します。フランス語学習者の方は生きたフランス語を学習することもできますので、ぜひ最後までご一読ください。

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目次

Cam Clash』とは?

Cam Clash』とはCamera Clashの略で、同じく”Caméra cachée”とも言い、直訳すると「隠しカメラ」ですが、内容としては日本の「ドッキリカメラ」に近いと思います。街中に隠しカメラを設置して、役者が演じ、通行人や周りにいる人たちがどのように反応するのかを観察するという社会的実験番組です。フランス語で« Expérience sociale(社会的実験) »と言いますが、フランスでは大変人気があり、一時期はローカル新聞紙の一面にまで取り上げられるテーマとなりました。

“Caméra cachée(ドッキリカメラ)” という単語はフランス人で知らない人はいないほどで、この『Cam Clash』も非常によく見られている番組です。

テーマは毎回さまざまです。

  • 男性なのに女性の格好をしている人に対して、わざと侮辱する言葉を投げかけたとき、周りにいる人たちはどんな反応をするのか?
  • った肥満女性が、レストランでありったけの食べ物を前に食事をしている風景を見て、役者が侮辱する言葉を投げかけます。それを見た周りの人たちは、正しい反応ができるでしょうか?
  • 電車の中で、若い10代の女子がわざと大声で喋ったり、音楽を大音量で聴いたりして騒いで見せます。他の乗客にとって大変迷惑なこの行為、周りにいる人はどのように対応するでしょうか?

といった、さまざまなテーマが毎回取り上げられています。しかし実は、このようなテーマは実際のフランスの中で、日常的に実際に起きている事でもあるのです。

中には、危機的な状況を扱った過激なテーマもあります。
「ストーカーの男に付けられていて、怖いから一緒に帰ってくれない?」と役者の被害者女性が周りにいるフランス人に声をかけます。声をかけられた人たちは、どのように対応・助けてくれるのでしょうか。そして海外だから起こる怖い事のひとつに、いきなり注射器で後ろから薬物を打たれて、意識が朦朧としている女性に「気分が悪そうだから俺の家に来いよ」と注射を刺した男が声をかけ、家に連れ込もうとします。
もちろんこれはドッキリカメラなので、注射器を打たれた女性も声をかけた男性も役者なのですが、実際にこのようなことも起こり得るというリアリティがあるのが海外なのです。

また、普通のカフェなどで、女性がトイレに行っている隙に、相手の男がドラッグか何か薬を女性の飲み物の中に忍ばせるというテーマも選ばれたりします。それを見た周りにいる人たちがどんな反応をするのか、女性に真実を言うのか?男性を責めることができるのか?など、深刻なテーマも選ばれたりします。

目的はもちろん「あなたもこのような場面に遭遇するかもしれません。そのときに、あなたはちゃんとリアクションできますか?助けられますか?きちんとした反応ができますか?」と呼びかけている番組なのです。

今回はそんな『Cam Clash』の中から、「Vous êtes un homme ou une femme ?(あなたは男性ですか、それとも女性ですか?)」というテーマのエピソードをご紹介すると共に、会話の中で出てきた面白い役立つフレーズも解説付きでご紹介します。

エピソード『Vous êtes un homme ou une femme ?(あなたは男性ですか、女性ですか?)』

Vous êtes un homme ou une femme ?

エピソードのあらすじとテーマ

女性の格好をした男性が、レストランで普通に食事しています。そこへ、役者の男性2人が、わざと侮辱する言葉をかけます。「おい、あれ見ろよ、女なのか?男なのか?面白いな。写真でも撮ってやるよ」相手を侮って見下す蔑視的な態度を取る2人に対して、周りにいる人たちはどんな反応を示すでしょうか?

フランス語お役立ち表現・フレーズ

Vous êtes ridicules ! (馬鹿げていますよ!)

(1:59)

Vous êtes ridicules

あなたたちは馬鹿げていますよ!

ridicule… ばかげた、不合理な、嘲笑すべきこと、おかしい

女性の格好をした男性をからかう役者に対して、ある一人の女性がからかうのをやめさせるために言った言葉です。

C’est impoli(無礼ですよ!)

(2:06)

C’est impoli, c’est méprisant, c’est de la méchanceté gratuite.

それは無礼で、軽蔑的で、根拠のない意地悪な言葉ですよ!

impoli…無礼な、失礼な

méprisant…軽蔑的な、見下すような、傲慢な

méchanceté…悪意、意地の悪さ、意地悪な言葉

gratuite…根拠のない、(明らかな)動機のない

Vous avez que ça à foutre(放っておいてあげてくださいよ!)

(2:23)

C’est abusé, vous la fermez vous la laissez tranquille, vous êtes vraiment… vous avez que ça à foutre, allez dehors !

いい加減にしろよ、彼女を静かに放っておいてやれよ、あなたたちは本当に…それについて放っておいてやれよ、もう外に出て行ってくださいよ!

abuséは動詞 “abuser(つけ込む、乗じる)”の受動態。C’est abuséで「度がすぎるぞ、いい加減にしろよ!」と言う意味になります。

vous avez que ça à foutre… 動詞 “foutre“は「…をする、やる、また…を乱暴に置く、放っておく」という少し軽蔑的なニュアンスがあります。フランスでよく使われる表現で “J’en ai rien à foutre(=全くどうでもいい、気にしない) “というフランス語表現があります。同じく少々軽蔑的なニュアンスを含みます。この場面では、しつこく攻撃してくる役者2人に対して「いい加減にしろよ、もう彼女を放っておいてやれよ!」と少し冷たく言い放す、強い感情が現れています。

Ta gueule !(黙れ!)

(2:31)

Ta gueule !

黙れ!

gueule…本来は「(肉食獣などの)口、人の面、顔、口」と言う意味を持ちます。それに「Ta(君の)」を付け加えることで「お前の口(面)≒黙れよ!」になります。
フランスでもゲームやドラマ、また日常などでも罵倒や喧嘩する場面で、最もよく使われる表現です。また、親しい友人同士の間でも冗談で使われたりします。言い方によって、優しい感じか、きつい感じかになります。これよりも少し和らいだ表現として “Tais-toi(ちょっと黙って)” と言う表現もあります。

il faut le respecter tel qu’il est(ありのままの彼を尊重しなきゃね)

(2:46)

C’est l’être humain, il faut le respecter tel qu’il est, ça m’a vraiment touché.

彼は人間よ、私たちはありのままの彼を尊重しなければならないのよ、私は本当に衝撃を受けたわ。

l’être humain…人間であること

respecter…尊重する、大切にする

il faut le respecter tel qu’il est… “tel que〜” で、「ありのままの、〜の通りに」となります。そのままの、ありのままの彼を尊重しなければならないのよ、という最もな正当性を主張している部分です。

touché…動詞 “toucher(=…を感動させる、心を打つ、衝撃を与える)” の過去形。

s’en prendre à eux (彼らを責める)

(3:08)

Et ne pas se moquer ouvertement et s’en prendre à eux parce qu’ils sont différents simplement.

それに、彼らが違うからといって、公然と彼らを非難したり、からかったりしないことだね、なぜなら彼らは皆それぞれ違うんだから。

se moquer…をばかにする、からかう

s’en prendre à …を非難する、責める

ouvertement…公然と、公の前で

ドッキリの後で、対象の的となっている男性を守った女性が、「みんなと違う格好をしているからと言って、そう言う人たちを公然と責めたり、からかったりしないことね。」と証言している場面です。

Vous la mettez mal à l’aise (彼女の居心地を悪くしている)

(3:34)

Vous voyez bien que vous la mettez mal à l’aise.

あなたが彼女を居心地を悪くさせていることぐらいお分かりでしょう

mal à l’aise…居心地が悪い、気づまりである

aiseは「くつろぎ、気楽」と言う意味で、être à l’aiseで「居心地が良い」という意味を持ちます。

malは「悪い、十分に…でない」と言う意味を持つので「くつろぎがない=居心地が悪い」と言う意味になります。

“mettre quelqu’un (人) à l’aise” で「…をくつろがせる」と言う意味があるので、上記の場合は「彼女をくつろがせていない=彼女の居心地を悪くさせている」と言う意味になります。

Je m’en fous(どうでもいい)

(3:38)

Je m’en fous que ce soit une femme ou un homme.

それが女性だろうが男性だろうが、僕にとってはどうでもいいんですよ

ドッキリの仕掛け人の2人に「Parce que vous savez que c’est une femme, vous ? (ではあなたはそれが女性ということをお分かりなのですか?」と聞かれた際に、「そんなことは僕にとってはどうでもいいんですよ」と対抗して、被害者の女性を守っているシーンです。

Je m’en fous…どうでもいい

この表現は、フランスで本当によく使われる日常的表現です。くだらない、些細なことで喧嘩したり、言い争っている場面や、ちっぽけなことで問題を奮起されようとしている時、矛盾を押し付けられようとしている時など。日本語で「そんなことは自分にとってはどうでもいいんですよ」と言う感情的な場面に用いられます。

また、Je m’en fous quequeの後は必ず接続法(subjonctif)になります。そのため上記はc’est→ce soitとなります(êtreの接続形がsoitになるためです)。

Mais la question n’est pas là(問題なのはそこじゃない)

(3:54)

Mais la question n’est pas là. Bien sûr que c’est normal, elle fait ce qu’elle veut et elle te demande pas ton avis.

あのさ、問題なのはそこじゃないの。当然それは普通のことよ、彼女は彼女のしたいようにするし、あなたの意見なんて聞いていないのよ!

ある女性が、仕掛け人の役者に対して正論を突きつけて論破しようとしている場面です。

La question n’est pas là.” は直訳すると「問題はそこにはいない=問題はそこではない」。こちらもフランスでとてもよく使われる表現です。仕掛け人の役者が女性を侮辱しているのを見て、いたたまれずに正論で論破しようとしている頼もしい女性の一言です。

La question…問題

Avis…意見

Qu’est-ce que ça peut te faire ?(それがどうしたっていうのよ)

(4:01)

Mais qu’est-ce que ça peut te faire ?

それがどうしたというのよ(どうってことないのよ)

仕掛け人の2人が “On trouve ça assez étrange, genre… c’est tout(いや、俺らは単にすごく変だって思うんだけどさ…それだけだよ)” と被害者の女性を貶している場面で、その場にいた女性の怒りが爆発します。

Qu’est-ce que ça peut te faire ?=それがどうしたっていうのよ(どうってことないじゃない)

こちらもフランス流で日常的に使われる表現です。正論を言い、相手を打ち負かすために出た言葉でもあります。

Qu’est-ce que ça peut te foutre ?(だから何だっていうのよ)

(4:13)

Mais qu’est-ce que ça peut te foutre ?

だから何だっていうのよ

Qu’est-ce que ça peut te foutre ?=だから何だっていうのよ

上記(Qu’est-ce que ça peut te foutre)のもう少し強い(軽蔑めいた)感じです。上記よりもっと軽蔑的なニュアンスを含む感じです。

foutre…上記でも触れた通り「やる、する、くれてやる、…を(乱暴に)置く、放っておく、…をくらわす」という少し軽蔑的なニュアンスがあります。

ただこの場合は “se foutre(使役動詞)” が使われており、“se foutre” で「...をばかにする、無視する、問題視しない」と言う意味を持ちます。ただ、この “Qu’est-ce que ça peut te foutre” はこの一フレーズでひとつの表現となり、「だから何だっていうんだ」という意味になります。こちらもフランス人が(皮肉で)よく好んで使う日常的に使われる表現でもあります。

Tu casses les couilles à tout le monde !(君はみんなを困らせているよ!)

(4:37)

Tu casses les couilles à tout le monde !

君はみんなを困らせている(憤慨させている、邪魔をしている)よ!

こちらは主にフランスの若者が好んで使う表現です。

casser=(…を破る、壊す、砕く)という動詞です。

couilles…睾丸

casser les couilles” でひとつの表現となっており、「…を激しくいらだたせる、うるさがらせる、迷惑をかける、邪魔をする」という意味があります。

上記の”Tu casse les couilles” は、「君はみんなの迷惑をしているよ(みんなを困らせている、憤慨させている、いらだたせているよ!)」とあまりにも無遠慮な仕掛け人の2人を注意しているシーンです。

まとめ

今回ご紹介したこのようなドッキリ(社会的実験)のドキュメンタリー番組は、フランスで老若男女問わず見られている番組です。つまり、それだけ多くのフランス人が興味がある話題だということです。

仕掛けるテーマはいずれも「日常生活で実際に起こっていること」でもあるため、「もしあなたが実際にこのような場面に直面した時に、あなたは正しいリアクションができますか?」というメッセージでもあります。また、これらを仕掛けられている周りの人たちは、もちろんこれがドッキリカメラ(camera cachée)だと言うことを知らないため、普通に日常的に使っている素の言葉で話しているため、フランス語の聞き取りや学習にもとても役立ちます。もちろん彼らは演技ではないため、直接彼らの表情や言葉のニュアンスなども聞きながら鑑賞できるので、とても伝わるものがありますね。

ぜひ実際にフランスで、これらの表現や似たようなフレーズを耳にした時には、ぜひ意味などを思い出しながら「彼らが何のことについて話しているのか、どんなことを伝えたいのか」などを聞き取りながら、耳を傾けてみてくださいね。
きっと、フランス語独特の表現がそこにはあって、世界が広がるはずです。

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この記事を書いた人

フランスへピアノの音楽留学のために渡仏し、フランス人パートナーとパリに住んでいます。可愛い雑貨やアンティーク、手芸屋さんなど可愛い物が大好き。おしゃれなカフェやおすすめレストラン探し、フランスらしい風景を写真撮影するのが趣味です。
在仏歴10年、パリガイド歴7年以上。
住んでいる人しか知らない隠れ家的スポットやおすすめ情報などをぜひご紹介していきます。

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