フランス絵画史において重要な転換点となった、印象派の誕生。印象派とは、風景や日常のひとコマを題材として明るい色彩で描いたフランスで確立された絵画のジャンルです。芸術に詳しくない方でも、モネやルノワールなど印象派を代表する画家の名前は知っているのではないでしょうか。
1874年に初めてパリで印象派展が開催されてから、今年は150年という節目の年を迎えました。パリでは印象派に焦点を当てた特別展も開催されています。そこで今回はパリで印象派の絵画を多く展示している美術館をご紹介します。
印象派作品を多く所蔵するパリの美術館
マルモッタン・モネ美術館(Musée Marmottan Monet)
パリ16区の閑静な住宅街に位置するマルモッタン・モネ美術館は、クロード・モネの作品を数多く所蔵していることで知られています。美術館の建物はアート収集家だったポール・マルモッタンの邸宅だったもの。
当初の展示品はポールとその父のコレクションなどで構成されていましたが、後にモネの医者だったジョルジュ・ド・ベリオの娘やモネの次男から作品の寄贈を受け、モネの作品を多く所蔵するに至りました。モネの作品が増えたことから美術館の名前もマルモッタン美術館から現在のマルモッタン・モネ美術館へと変更になっています。
マルモッタン・モネ美術館の目玉は、「印象派」という言葉のもとになったといわれるモネの絵画「印象・日の出」です。印象派ファンやモネの作品が好きな方は絶対に見に行きたいですね。他にもモネの連作「睡蓮」をはじめ、数多くの印象派の作品が展示されています。
◆マルモッタン・モネ美術館
アドレス:2 Rue Louis Boilly, 75016 Paris
公式サイト:マルモッタン・モネ美術館
入場料:14€(事前購入:14,5€)
オランジュリー美術館(Musée de l’Orangerie)
もともとオレンジの木(=オランジュリー)の温室だったことからその名がついたオランジュリー美術館。ルーヴル美術館やオルセー美術館と並んでパリでもっとも有名な美術館のひとつです。
オランジュリー美術館は印象派と印象派のあとに確立されたポスト印象派の絵画を中心に展示しています。そしてなんといっても、オランジュリー美術館といえばモネの「睡蓮」ですよね。超大型の8つの睡蓮はオーバル型の睡蓮専用展示室に展示されています。
これらの睡蓮はモネから直接フランス国家へ寄贈されたもので、展示室もそれに合わせて設計されました。モネが晩年に描き上げた超大作、一生に一度は見てみたいですね。
◆オランジュリー美術館
アドレス:Jardin des Tuileries, 75001 Paris
公式サイト:オランジュリー美術館
入場料:12,5€
オルセー美術館(Musée d’Orsay)
パリの三大美術館のひとつ、オルセー美術館でも多くの印象派作品を見ることができます。三大美術館の収蔵作品は、ルーヴル美術館はフランス革命(1848年)以前、オルセー美術館はフランス革命から第一次世界大戦以前、ポンピドゥーセンターは第一次世界大戦以降、とざっくりとですが区分けされています。印象派の画家が活躍したのは19世紀後半であることから、オルセー美術館にその多くの作品が集まっているんです。
今年は初めて印象派展が開かれてから150年という節目の年であり、オルセー美術館では「パリ1874年、印象派の創造」(Paris 1874 Inventer l’impressionnisme)という、印象派の作品を集めた特別展が開催されています。
この特別展では、1874年の第一回印象派展に出展された作品を中心に130点の絵画や彫刻が展示されています。先日特別展を見に行ってきましたが、大盛況の様子でした。
普段はマルモッタン・モネ美術館に展示されているモネの「印象・日の出」も、特別展開催中はオルセー美術館で見ることができます。特別展は7月まで開催。それまでにパリに行く予定のある方は絶対に見逃せない展示です。
◆オルセー美術館
アドレス:Esplanade Valéry Giscard d’Estaing, 75007 Paris
公式サイト:オルセー美術館
入場料:16€
特別展「パリ1874年、印象派の創造」:3月26日〜7月14日まで開催