フランスと日本のスーパーマーケットの違い

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果物、野菜、お肉など、私たちが日常で必要不可欠な食物が売っているスーパーマーケット。
今回はフランスに10年間住んでいる私が、フランスと日本とのスーパーの違いについてご紹介します。
意外な相違点や面白い発見などがあるかと思いますので、ぜひご覧になってくださいね。

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値段の違い

私はフランスにいたとき「日本では果物の値段が高いと聞くけど、本当なの?」と何度かフランス人に尋ねられることがありました。どうやらヨーロッパ人にとって、日本では果物や野菜の値段は高いイメージがあるらしいのです。

ただ、値段に関してはフランスと大体一緒で、逆に日本の方が安い果物などもあります。なので、日本の方がべらぼうに高くてなどという値段についての違いはほとんどありませんので、基本的にはだいたい同じくらいと考えていただいて良いと思います。

買い方の違い

日本では果物や野菜を買う時、ひとつひとつパッケージに包装されているものが多いですよね。
フランスでは1kgあたりの値段が記載されているものがほとんどで、自分で「果物や野菜の重さ測り器」のところへ持っていき、自分で重さを測って、値段シールを付けてレジに持っていくという「量り売り(フランス語でvracと言います)」スタイルが一般的です。

そのため、多く取れば値段も高くなり、少なく取れば値段も安くなるというシステムです。日本ではパッケージに入っている商品はほぼ同じ重さで同じ値段で売られていますが、フランスではこのように自分で測り器で測って値段シールを付けて会計まで持っていかなければなりません。もし万が一、これをせずにそのまま野菜や果物をレジに持っていくと、「測り器で測ってきてくださいね」と言われます。フランスではこのように「全て自分でやらなければならない世界」なのです。

売られ方の違い

日本では、野菜や果物などは全てプラスチックのパッケージで綺麗に梱包されて売られていますよね。それに対して、フランスでは野菜や果物などはそのまま露出されて売られているものがほとんどです。

フランスのスーパーでの売られ方
フランスのマルシェ(青空市場)での売られ方

そしてそれらを、直接手で触って、食べごろかどうかを確認して選んでいきます。

日本では衛生面での理由から、消費者が直接手で触ることはなるべく避けたいため、ひとつひとつパッケージに包んで綺麗に配列されて売られています。ここが日本とフランスの大きな違いですね。

フランス的には、「どうせ皆、手で触って食べるのに、何を躊躇しているの?」という感じでしょうが、日本的には「誰かが触った果物などは買いたくない」という面で躊躇する人が圧倒的に多いのです。よく言えば衛生面に配慮していると言えますが、悪く言えば少し神経質すぎる、とも言えますね。

また、上記のように日本の果物や野菜がパッケージに包まれている理由として、日本はフランスに比べてとても湿度が高い国なので、フランスのようにそのまま露出していたら野菜や果物が湿度でやられて傷んでしまい虫が寄ってきたりするという理由もあります。フランスでは湿度は常に乾燥しており、30%を切ることもあるぐらいなので、そのような心配がないのです。(日本の平均湿度は60%~70%、フランスの平均湿度は35~40%と言われています。)

こういった理由からも、「品質を大事にする、衛生面を配慮する」という日本人特有の細やかな精神が伺えますね。逆に、フランスでは湿度が低く常に乾燥しているので、そのような心配がない(野菜や果物などが湿度によって傷む心配がない)という利点もあります。そのため、小さいことはあまり気にしない、大らかな人が多いというのはこのような背景もあるかもしれません。

売り場スペースの違い

フランスでは、圧倒的に「乳製品」のスペースが日本よりも大きいです。例えばチーズ売り場などは日本の2〜3倍はあるぐらい、何十種類のチーズがどっさりと売られています。フランス人が毎日食べているからという理由もありますね。それに対して日本では大豆製品(豆腐、納豆、醤油など)や海藻類(海苔、ワカメなど)の売り場のスペースが大きく、フランスの何倍もあります。日本人は大豆製品を毎日のように摂取しているため、納得できますね。

フランスにももちろん大豆として「Soja」という名前で売られているコーナーもありますが、日本の3分の1ぐらいの小さなスペースにちょこっと置かれているぐらいです(それもオーガニックスーパーやアジア系スーパーなど、限られたお店にしか置いてないことが多いです)。また、味も本物の大豆のように美味しいのかと言われたら、「うーん…」となることも多く、私もフランスで「Okara」と書かれた大豆製品(おそらく日本のおから風のもの)を購入したことがありますが、味もパサついていてイメージしていたものとはかけ離れており、やはり日本の方が美味しかったです。

フランスのオーガニックスーパーで購入したOkara(おから)

日本で取れるものは日本で、フランスで生産できるものはフランスでの方がやはり味も美味しくなるのでしょう。いずれにしても日本人とヨーロッパ人は日常的に摂取する食べ物が違うため、このようにスーパーでの売られ方にも大きく違いが出てくるのですね。

10年の私のフランス生活で気づいたことも、やはり日本だと大豆製品や海藻類の売り場のスペースが大きいですが、フランスでは乳製品であるチーズや牛乳、バターの種類や売り場スペースがかなり大きいです。日本では納豆だけでも、刻み〜大粒、小粒など色々な種類があり納豆コーナーがありますよね。同じようにフランスだと、チーズと言ってもブリーチーズやロックフォール、コンテ、ブルー・ド・ゴートやサン・ネクテールなど様々な種類があります。

また、日本人の胃腸とヨーロッパ人の胃腸はもともと消化力が違うので、ヨーロッパ人は乳製品は消化できるけれど、海藻類をうまく消化できない体質らしいのです。日本人で乳製品を上手く消化できない人がいるように、やはりその土地や習慣に合った食べ物が上手く消化できるように出来ているのですね。

フランスでしか売られていないもの・日本でしか売られていないもの

それぞれの国でしか売られていない物は結構ありますね。

たとえば日本だと、ブロッコリースプラウト、舞茸、ミョウガ、ゆりねなど。フランスではアーティチョーク、ズッキーニ、エシャロット、ジロール茸など。

ジロール茸(girolle)

特に最後のジロール茸(girolle)は、フランスのマルシェ(青空市場)で目にしない時はないほど、ほとんどの売り場で毎日のように売られています。日本では全く馴染みのないものなので、最初は購入するのを躊躇していましたが、食べてみるとこれまた美味しいのです!歯応えがあり、肉料理のソースとして活躍したり、「ジロール茸のオムレツ」はフランスの家庭料理の定番だそうです。香味野菜や香草とソテーして付け合わせなどに、または、シンプルにバター焼きなどもおすすめです。

ジロール茸のオムレツ(Omelette aux girolles)
引用元:https://www.cuisineactuelle.fr/recettes/omelette-aux-girolles-ail-et-persil-240387

お会計時の違い

「レジでお会計時、店員さんがカゴから出してお会計してくれるのは日本だけ」。これは私がフランスで受けたカルチャーショックの一つです。今となってはもう慣れましたが、フランスではレジでのお会計時に自分でひとつひとつ商品を出していかないと、レジ係の店員さんは何もやってくれません。日本ではカゴごと渡せば、あとは店員さんが全てやってくれますよね(カゴからカゴへ商品を詰めていく作業も)。ところがフランスや海外では、カゴごと渡しても何もやってくれないので、全てを自分でする必要があるのです。

また日本では値段も1個ずつ、間違いがないように確認してくれますが、フランスでは値段を間違われることもしょっちゅうでした(もちろん故意ではないのでしょうが、レジ打ち間違いやミスで、後でレシートを持って行った経験が結構ありました)。

また、面白い違いに、フランスではレジ係の店員さんは座って作業していることが多いです(長時間で疲れるからでしょうか?)。日本では、ほぼ100%レジを打つ店員さんは立って仕事をしていらっしゃいますよね。

それは日本に「お客様は神様だ」という概念があるからとも言えるでしょう。フランスではそれどころか「レジを毎日打つのは疲れるのよ!なんで私らが立って仕事しなきゃならないの?」という感じです。

ものすごい違いですよね。この点は実は私が一番相違点を感じた点かもしれません。日本だと、お金をもらって(お支払いいただいて)いるお客様は大切で、そのお客様相手に座って仕事するなどもってのほかというイメージがあるのですが、フランスではそのようなことは全く気にしません。むしろそれぞれの方の体調や感情を重んじる国ですので、たとえばレジ係の方が「今日はお腹が痛くて…」と言ったら「そうなの、大丈夫?どこか悪いの?病院に行ってらっしゃいよ、今日は休んでいいからね」などと上司が心配してくれるほどですが、日本だとそうはいきません。少々の腹痛ろうと微熱だろうと、仕事は仕事と割り切って出勤しなければならない場合がほとんどです。

また、少々話外れますが、これはフランスで私が最も感じたことです。フランスでは、特に相手の感情や状態(体調、精神状態など)に本当に重きを重んじる国だなということ。

たとえば、大事な音楽の試験があったとします。一人一人持ち時間は限られていて、その時間が終わったら次の人、とすぐに出ていかなけらばなりません(試験ってそういうものですよね)。なのでもちろんトイレなどは事前に済ませておくのが当然なのですが、急に腹痛で次が自分の出番なのに、直前にトイレに行かなければならなくなった受験者がいたとします。日本なら、待たずに次の人に行ってしまうことが多いはずですが、フランスだと担当の先生が「今⚪︎⚪︎は急に腹痛がして、トイレに行っているらしいのです。少しお待ちいただけませんか」と審査員の方々に事情を説明します。すると審査員の方々は、「そうなの、大丈夫かな。どこも悪くなければ良いけれど。少し待とうか、みんな。その間カフェでもしようか」などと逆にリラックスした雰囲気になります。

試験やコンクールなどという場合には特に、日本ではピリピリした感じになりますが、フランスでは常にこのようにアットホームな感じで「一人の人間として、人情味」を常に大事にする国だなと感じました。

また、日本は少々規則正しすぎる国だなと感じる時が多々あります。たとえば上記のように試験時、「絶対時間厳守!1〜2分でも遅れたら絶対に試験会場へは入れません」など固すぎる規則があるところも多いです。もちろん時間厳守は良いことですが、やり過ぎな印象を受ける時があります。

実際私は日本でとある試験会場に赴いた際、致し方ない電車の遅延で2分だけ遅れてしまい、理由を説明したのですが(電車の遅延のせいで遅れた旨)、1分でも遅れたらもう会場には入れません、と頑固として断られた経験があります。遅延証明を見せても会場へは入らせてはくれませんでした。

フランスだと遅れても1〜2分はもちろん、少なくとも15分以内であれば許容範囲のところがほとんどです。皆それのために会場に来ているのですから、数分遅れても「来たという事実」が大事なのです。

そういう点からも、日本は場合によっては少々堅苦しく、規則にがんじがらめになっている点が少々あるなと感じてしまったことがあります。逆に言えば、それだけ規則正しいから色々なことに目が届く(衛生面、セキュリティなどの面においても配慮が行き届く)という利点とも言えます。どちらの国だから悪いということは一切なく、それぞれの国に一長一短はあるということですね。

まとめ

今回はフランスと日本のスーパーの違いについてご紹介しました。

それぞれの国に、良い点と改善できる点があるように思えますね。日本の良いところは、本当に配慮が隅々にまで行き渡っており、繊細な精神で、丁寧に作業をしてくれる点、しかしそれが少々神経質過ぎてしまったり、規則正し過ぎてしまったり、見方によっては硬すぎると思われてしまう点もあるのではないでしょうか。

一方フランスでは、セキュリティや治安などに問題があるとも言われており、日本ほど隅々にまで配慮が行き渡っていないところはあるものの、大らかで、細かいところは気にしない、また常にその人の感情面や精神面、体調や状態を大事にし尊重するという点が日本よりも優れているように感じます。

どちらの国にも一長一短ありますし、見方によってはそれが長所にも短所にも捉えることができますね。
皆さんもフランスへ行く機会があれば、ぜひスーパーでの違い以外にも、日本との違いについて様々なことに目を向けてみてください。

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この記事を書いた人

フランスへピアノの音楽留学のために渡仏し、フランス人パートナーとパリに住んでいます。可愛い雑貨やアンティーク、手芸屋さんなど可愛い物が大好き。おしゃれなカフェやおすすめレストラン探し、フランスらしい風景を写真撮影するのが趣味です。
在仏歴10年、パリガイド歴7年以上。
住んでいる人しか知らない隠れ家的スポットやおすすめ情報などをぜひご紹介していきます。

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